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太田清之著作集
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関連文集:「太田清之著作集」より

昭和34年9月 医家芸術
 上野への郷愁
 

 都の人の旅といえば田舎であるが、私共田舎に住んでいるものにとっては、都に上るのが旅である。

 戦前戦後から最近に至るまで、札幌から上京するとせば汽車便のみで、その終着駅が上野であった。宿も常に上野駅に近くとり、あの辺一帯がいつかなじみ深いものとなっていた。省線のガード下を抜けて左に廻れば広小路。右の石段を登ると上野公園。そして西郷銅像や維新戦争の旧蹟博物館、美術館、東照宮、動物園やモノレール。仕事を終えて暇になった夜などは不忍池畔の映画館に這入ったり、鈴本亭で落語を聴いた。札幌とちがって米のうまいすし屋も覚えた。土産物は松披屋と酒税に限られた。ガード下の雑踏、地下街の浮浪者、上野山に、つごめくグロテスクな男娼たちなどもなつかしくさえ思われる。

 こうして上野駅附近は私共田舎者にとって、久しい間の都での故郷となっていた。ところが最近航空路の発達とともに、札幌羽田間僅かに三時間、そしてエアーターミナルが八重洲口である。帰路も空路をとれば、もう上野には用はない。宿もいつか上野とは関係のない所となり、私どもの都における生活の中心も上野駅から東京駅へと移ってきた。しかも時たま上京して、仕事が終って暇があれば、私どもの足はいつか自然と上野へと向っているのである。上野への郷愁を都で味っている北海道人は私のみではあるまいと、秘かに私は信じている。





馴れぬ場所なれぬ看護婦なれぬメス一汗かきぬ手術終わりて ささやかな土にはあれど新しく吾が得しものと手に採りてみる 太田清之
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太田清之著作集
札幌太田病院創立
40周年記念

発行:昭和59年11月11日


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本ホームページは太田清之(1903〜1961)が発表した文献を掲載しているため、記載されている情報は現在の医療規則・法律よりも古いものです。




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